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【映画】 半世界


【★(個人的好みを5段階で)】


私には共感する部分が少なくて、だからあまり響いてこなかったです。
私がアラフォー男性ではないからかな?
言わんとするところはわかる気もするし、田舎町でのこの生活やこの状況に鬱々とする気持ちもよくわかるんだけど、心にガツンとはこなかったです。
登場人物の生活を淡々と映像として見せられただけで、そこからそれぞれの心情を読み解くのはちょっと難しかったように思います。
見る側の想像に委ねられ過ぎている気がして、見ながら想像力や共感力や読解力を駆使しなくてはいけなくて、それをサボると淡々としたアラフォー男の日常をただ眺めるだけになってしまう、というような作品だったように感じました。
“見る側に委ねる”ことができる物語は好きだし、いい作品が多いとは思うのだけど、あまり委ねすぎて語らなすぎるのは伝わりにくいし、その塩梅は難しいなと思います。
この作品は、登場人物の心情をもうちょっと描いた方が心に響いたのかもと、私は思いました。


【◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2019-02-27 22:28 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 夜明け


【★★★(個人的好みを5段階で)】


観終わった直後は面白かったのか面白くなかったのかもよくわからなくて、ただもやもやとした感情だけがあったのですが、時間が経って少しわかってきました。
いたたれなさと居心地の悪さでできている作品で、物語の解釈とラストの解釈と鑑賞後にどういう感情が湧いたかは観客それぞれに委ねます、というタイプの映画だと思いました。
私の場合、後味の悪さとやりきれなさが残りました。
登場人物は誰も救われていないし、むしろ、物語が始まる前よりも悪くなっているし、ラストのその後は、私の解釈ではさらに良くない展開になると思うので、どうしてもやりきれなさが残ります。
では面白くなかったかといえばそんなこともなくて、この救いようのなさが文学的のようであり、高尚な映画を観たような気分に浸ることができます。

秘密にしたい過去を抱えた青年・シンイチ(柳楽優弥)と息子に対して後悔の念を抱いている初老の男・哲郎(小林薫)。
偶然出会った二人は、お互いの存在が支えとなって次第に絆のようなものが芽生え始めるのですが……。

シンイチはあらゆる場面で間が悪い、空気が読めない、気を遣いすぎて(遠慮がすぎて)その場の雰囲気をしらけさせる、そういうタイプの青年で、見ていてイライラするしハラハラするしいたたまれなくなります。
親からもバイト先の店長からもぞんざいに扱われてきたと言う彼ですが、たぶん私がバイト先の店長でも、こういうタイプの子は好きじゃないだろうなと思います。
悪い子ではないんだけどぼんやりしててはっきりしないところが気持ちよくない。

そんなシンイチにとって哲郎の存在は救いだっただろうし、哲郎にとってもそうだったろうと思います。
だけどやっぱり間が悪くて、きっと出会うタイミングが今じゃなかった。
そして、いろいろあってからのラスト、シンイチが行動を起こしたタイミングも間違っていたし、ラストのラストのシンイチの選択もきっと間違っている。
すべてのタイミングと選択が、全員が嫌な気持ちになる、わだかまりが残る、そういう方に進んでしまう間の悪さが終始気持ち悪くて、すごいと思いました。
残酷すぎて気持ち悪いとか不幸すぎて気持ち悪いとか、そういう突き抜けた気持ち悪さではなくて、ちょっとずつずれている不協和音のような気持ち悪さ。
どこかをどうにかすれば、かちっとはまってすべてが上手くいきそうなのに、なかなかそうはいかないもどかしさ。

夜明け、というタイトル。
私は、物語のその後に明るい夜明けは感じられなかったのですが、シンイチと哲郎がほんのちょっと変われればもしかしたら事態は好転し始めるのかな、そうだといいなと、そう思いました。


【◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2019-02-08 23:33 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 万引き家族



★★★★★<個人的好き嫌いを5段階で表示>


まるでドキュメンタリーを見ているようでした。
映像の説得力が凄まじかったです。
『万引き家族』である6人の振る舞い、佇まい、それからこの『家族』が暮らす家や環境のディテール。
この国の制度や法律やコミュニティの隙間にすっぽりと抜け落ちてしまった人たちが、あのスクリーンの中に確かに存在していました。

この映画は『万引きのような犯罪を犯さなければ生きていけない人たちを、擁護・美化した作品』ではありません。
違います、むしろ逆です。
クズ人間をクズ人間として描いています。
あの『家族』はクズです。
特に、リリーさんとサクラさんはひどいです。
「彼が盗んだのは、絆でした」というキャッチコピーはない方がいいです。
そんな綺麗な話ではありません。

ただ、ここがすごく難しいところだし、賛否分かれるところだと思うんですが、そのクズな行いのおかげで救われている人もいるのです。
『家族』の中の子供2人は確実にそうです。
それから松岡茉優ちゃんも樹木希林さんも、精神的に救われています。
ワンシーンしか出てこない池松壮亮くんもそうです。
この池松くんのシーンはとても印象深くて、苦しくせつないです。
「これだけ救われている人たちがいるんだから、彼らを『悪』だと決めつけてしまわなくていいんじゃないか」とはやっぱり言い切れない、見逃せない部分があるので、だから否応なしに自分の倫理観と向き合わされてしまいます。
『正しさ』とか『正義』って一体なに? という答えの出ない問いにはまってしまいます。
この映画を見てどんな感想を持ち、どう評価するかで、その人の倫理観を垣間見ることができるんじゃないかと、私は感じました。

実体験としての貧しさを経験していない人(観念としてではなく実体験)や、家族の愛など幸福感を感じて育った人ほど、(要するに、普通に幸せに育った人ほど)この『家族』やこの映画そのものを嫌いだろうなと思います。
私の場合は、リリーさんやサクラさん寄りに感情移入しました。
ダメな人たちだし、身近にいたら関わりたくないタイプの人たちなんですけどね。

たぶん、本当に正しいのはあの警察の人たちです。
わかっています。頭ではわかります。
でも、その正しさは、少なくともあの少女を不幸にする可能性をおおいにはらんでいる。
その正しさに従っていたら、男の子の命もなかったかもしれない。
そう考えたら、全員が救われる正しさというのは、この世界には存在しないのかもしれないですね。
やりきれないです。
駄菓子屋のおじさんの振る舞いが、もしかしたら一番納得できるものなのかもしれないけど、でもやっぱり「正しいか」と問われれば難しいです。

ケイト・ブランシェットがカンヌで絶賛した、サクラさんが泣く場面はすごいです。
彼女の言葉と涙には圧倒されます。
見ているこちらの感情が揺さぶられて、心を掻きむしられるようでした。

こんな風に賛否がはっきり分かれていて、しかも否の声が大きいものほど、実はものすごく素晴らしい作品なのだと思います。
それだけ、人々の心をザワザワさせたわけですから。
本編を見たあとに下のポスターの笑顔を見ると、やりきれなくて苦しくなります。


◆作品データ → 映画.COM

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by wakabanokimochi | 2018-07-09 21:49 | 映画 | Trackback | Comments(2)

【映画】 blank13



★★★★<5段階中>


あらすじ(映画.comより)-------------------------------
13年前に突然失踪した父親の消息が判明した。
しかし、がんを患った父の余命はわずか3カ月。
父と家族たちの溝は埋まることなく、3カ月後にこの世を去ってしまう。
葬儀に参列した人びとが語る家族の知らなかった父親のエピソードの数々によって、父と家族の13年間の空白が埋まっていく。
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ギャンブルと借金まみれの父親が失踪したせいで苦労をすることになる家族。
残された母親も長男も次男も、おそらくそれぞれのことを思いやって、怒るでもなく泣き言を言うでもなく感情を押し殺して生きている。
言葉も感情表現も少ないシーンの連続なのに、登場人物たちの感情が画面からほとばしり溢れ出しているのを感じる。
特に、主人公である次男は終始ほぼ無表情に見えるのに、ほんのちょっとの表情の変化や仕草で彼の心の動きがひしひしと伝わってきてヒリヒリ痛い。
高橋一生という役者の表現力の高さに脱帽する。

急にテイストの変わる葬式のシーンには少し戸惑ったけど、無表情な遺族側と個性豊かで感情豊かな参列者たちとの対比や、隣の大きな寺で行われている裕福そうな葬式との対比のよって、苦労続きだったこの家族が徐々に救われていくように見える。
もし私が当事者ならこの状況では救われないけど、この家族、特に次男の心が救われたのならとてもよいお葬式だったのだと思う。
彼がこれから人生の第二章を晴れやかに進むことができそうで良かった。


◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2018-04-17 22:23 | 映画 | Trackback | Comments(0)



★★★★<5段階中>

あらすじ(映画.comより)-------------------------------
下品で貧相、金も地位もない15歳上の男・陣治(阿部サダヲ)と暮らす十和子(蒼井優)は、8年前に別れた黒崎(竹野内豊)のことを忘れられずにいた。
陣治に激しい嫌悪の念を抱きながらも、陣治の稼ぎのみで働きもせずに毎日を送っていた十和子は、黒崎に似た面影を持つ妻子ある水島(松坂桃李)と関係を持つ。
ある日、十和子は家に訪ねてきた刑事から、黒崎が行方不明であることを告げられる。
「十和子が幸せならそれでいい」と、日に何度も十和子に電話をかけ、さらには彼女を尾行するなど、異様なまでの執着を見せる陣治。
黒崎の失踪に陣治が関係しているのではないかとの疑いを持った十和子は、その危険が水島にまでおよぶのではとないかと戦慄する。
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理屈っぽい私は映画や小説の感想がすぐ理屈っぽくなってしまうんですが、その理屈をあーじゃないこーじゃないとこねくり回すのが好きなんです。
だけどこの映画は理屈でどうこう言うようなものじゃなくて、感情をもの凄く刺激される作品でした。

登場人物たちに対する不快さ、官能的なシーンを執拗に見せつけられることでざわつく感情、陣治への疑いが深まり始めてからの恐怖感、十和子という怠惰で浅はかな女に対する憐憫、陣治の十和子に対する想い。
観終わったあとはそういういろいろな感情がごちゃまぜになって、悲しいんだか感動したんだか、なんだか自分でもよくわからない複雑な感情が渦巻いて、一言で言うなら戸惑ってしまいました。
感情をシェイカーでガシャガシャと振られた感じ。

最後の最後、鳥が3羽くらい飛び立つところがすごくよかったです。
あのワンシーンで、少しだけ悲しみが和らぎました。

「あなたはこれを愛と呼べるか」というコピー、真っ直ぐすぎる愛だと思います。


作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2018-02-10 23:50 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 シン・ゴジラ



作品データ (映画.COM)

★★★★★<5段階評価>


ネット界隈に氾濫する大絶賛の声を見てすごく気になっていたのですが、やっと観てきました!
大絶賛の嵐のわけがわかりました、これは面白い!
とにかくスゴイ!とにかく素晴らしい!
「これを観ずして何を観る!?」というくらい面白い作品です。
度肝を抜かれました!

私は過去のゴジラ作品は(ハリウッドのも含め)1作も観たことがなくて、元々パニック映画(大嵐が都市を襲うとか、ボルケーノが都市を飲み込むとか、エイリアンが人類を滅ぼしに来るとか)も好きじゃありません。
そんな私でもこの『シン・ゴジラ』は面白かった!
というか、この作品はそんなパニック映画でもないし、ただの怪獣映画でもありません。

「ゴジラかぁ~。怪獣が街を壊す映画でしょ。┐(´д`)┌」
と思ったら大間違い!
そんな単純な映画ではないのです。

この作品の世界は、円谷英二が生まれなかった日本です。
ということは、そもそもウルトラマンや大怪獣という概念がない世界です。
なので作品の中の人々は、突如現れた巨大生物を前にうろたえるしかありません。

東日本大震災や原発事故がテーマになっていると巷で言われていますが、まさに、「今、首都である東京が未曾有の大災害に襲われたら人々はどう動き、政府はどういう対応をするのか」というシミュレーション映画であり、ドキュメンタリーのような作りになっています。
キャッチコピーが『現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)』ですが、“ゴジラ”以外は全て現実に起こりうることと思わせるほどの圧倒的リアリティがスゴイのです。

この作品に強烈に魅せられる人がいる理由はさまざまあると思いますが、まず、この圧倒的リアリティがあるということ。
ゴジラが出現したときの政治家たちのすっとぼけた感じ、危機感が募るにつれて緊迫する政治家や官僚たちの言動、街の人々の反応、ビルや公共機関といった街のディテールの細かさ。
劇中で使っているパソコンにも細かいこだわりがあるとか。
作り手の思い入れがスゴイ。

あと、いくらでも深読みしたくなる作品であるということ。
エヴァンゲリオンを作った庵野監督だけあって、観たあとに語りたくなるんです。
「ゴジラは○○の象徴に違いない」とか「あの人のあのセリフはあの映画のオマージュだ」とか「あのシーンのあのこだわりっぷりがマニアック」とか「劇中でひとまずの解決したあとのあの世界はどうなったのか」とか。
この作品を観て刺激を受けた人たちがネット界隈で「あーだこーだ」言ってるのを見るのもまた面白い。

それから、聞き慣れない専門用語がバンバン出てくるのに特に説明するわけでもなく話がどんどん進んでいく感じとかの「わかる人だけわかればいい。とにかく雰囲気さえ伝われば」という開き直り感もいいし、必殺武器みたいなのは一切出なくて、現実にあるもので対処していく感じとかも、やけにリアルでいい。

万人受けする作品ではないのかもしれないけど、それさえも、この作品にときめいた人たちの自尊心みたいなものをくすぐるんだと思います。
私もその一人で、この作品を面白いと思えるタイプの人間で良かったな、これを面白いと思える感性の人間で得したなと思うのです。

とにかく、ゴジラ新作の話が出たときに庵野さんにオファーした東宝の人に感謝だし、あの脚本でOKを出した東宝のエライ人にも感謝だし、エンドロールを埋め尽くすほどの協賛と協力を取り付けるために奔走した人たちにも感謝です。

最低もう1回は絶対劇場で観たい。

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by wakabanokimochi | 2016-08-25 23:05 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 追憶の森



作品データ (映画.COM) → http://eiga.com/movie/82197/


★★★★★<5段階評価>


※核心には触れてないけど多少のネタバレはあるかも。


思いつめた表情の男は、アメリカから飛行機に乗り電車やタクシーを乗り継いで富士山の麓の青木ヶ原樹海を訪れる。
立入禁止のロープをくぐり、森の奥へ奥へと進んでいく男。
生きた人間の気配など感じさせないほど深くまで入り込んだとき、森の中をさまよう日本人男性と出くわす。


とても神秘的な作品。

悲しいんだけど悲しいだけじゃないし、後悔に溢れているんだけどそれだけでもない。
救いがたい絶望も確かにあるけど、希望もちゃんとある。

観る人の感覚やそのときの心の在りようによって解釈も感じ方も変わると思う。
まるで抽象画のよう。

昨今、説明過多で「はい、泣くところ。はい、笑うところ。」と感情を指図される作品が多くなってきたけど、この映画は余計な説明が一切ない。
主人公のアメリカ人男性に起こったことを、過去の出来事も織り交ぜながら淡々と見せていくだけ。
解釈も感情も観る側に委ねられるので、その分心を揺さぶられて、私は大好きな作品。

冒頭の主人公の思いつめた表情は自殺を連想させるけど、森に入っていく彼は首吊り用のロープを持っているわけでもなく、睡眠薬のような物を飲もうとするシーンでも、ガサッと一気に手のひらに出すものの一錠ずつ飲んでいく。
それらの彼の行動が私には、死にたいんじゃなくて救われたいんだろうなって感じた。

積極的に“死にたい”わけではなく“生きていたくない”という思い。
“救われる”ことが“死ぬこと”ならばそれも受け入れようという、消極的な死。
迷い込んだら出られない深い森が彼の心の象徴に思える。

ただ、その森も、自殺の名所であるのに恐ろしげではなく、最初から最後までとても美しく神秘的に見せているのが印象的。
その美しい森の風景を見ていると、やはり“自殺”のようなネガティブな感覚ではなく、絶望の中にも見出すことができる明るい光、みたいなものを感じることができる。


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by wakabanokimochi | 2016-05-13 00:18 | 映画 | Trackback | Comments(0)



映画データ (映画.COM)

★★<5段階評価>

作品紹介----------
ヒマラヤ山脈を望むネパールの首都カトマンズで、山岳カメラマンの深町誠が発見した1台の古いカメラ。
そのカメラは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーが、1942年6月8日にエベレスト初登頂に成功したのか否かという、登山史上最大の謎を解く可能性を秘めたものだった。
カメラの過去を追う深町は、その過程で、かつて天才クライマーと呼ばれながらも、無謀で他人を顧みないやり方のために孤立した伝説のアルピニスト・羽生丈二と出会う。
深町は羽生の過去を調べるうちに、羽生という男の生きざまにいつしか飲み込まれていく。
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原作は未読なので、純粋にこの映画を観た感想になります。
ネタバレ、少しあります。

登山に興味のない人が観たら。
人生を投げ打ってまでエヴェレストにこだわってしまう感覚とかが伝わりにくいんじゃないかと思う。
羽生さん(阿部寛)が山に取り憑かれた天才クライマーという描写はあるけど、クライマックスの、山男の熱い想いみたいなものが、山に興味のない人には暑苦しいだけに見えてしまわないかと感じた。

登山知識がある人が観たら。
羽生さんや深町さん(岡田准一)がエヴェレストにアタックする後半シーンにいくつか見られるリアリティのなさが気になってしまうんじゃないかと思う。
映画なんだし、エンタメ作品なんだし、そんな細かいことを気にするのは野暮っていう思いもあるんだけど、少しだけ気になってしまった。
羽生さんが挑もうとする前人未到の挑戦に、羽生さんほどの技術はないと思われる深町さんが何の準備もなく同行することに無理があるとか、足手まといになるであろう深町さんの同行を許す羽生さんとか。
エヴェレストなのにわりと軽装で、しかも深町さんは思いつきで登ることを決めた感じが否めなくて、そのせいで、山男たちがエヴェレストに感じている畏怖や敬意や憧れみたいなものが希薄になってしまっているのが残念。
羽生さんが無謀な挑戦をしているというのが表現しきれていない。
それと、ベースキャンプで二人の帰りを待つ尾野真千子さんが天候が荒れ始めたエヴェレストに向かって言う「何人の命を奪えば気が済むんですか!?なんでこんな目に会わなくちゃいけないんですか!?」ってセリフも気になった。。
エヴェレストからしてみたら、勝手に登ってきて勝手に死んでいくだけなんで、とても違和感を感じるセリフだなぁと。
山に興味はないけど待つ身、としては言いたくなるのかもだけど。

原作未読の人が観たら。
登場人物の心境の変化についていけなくて、展開が唐突に見える。
おそらく原作ではもっと深く濃厚に人物像が描かれているんだろうけど、それを映画では描ききれていないのでそう見えるんだと思う。

原作を知っている人が観たら。
私は未読だけど、大ベストセラーだし山岳小説の金字塔と言われる作品なんだからきっとかなり面白い小説なんだと思う。
それを2時間の映画に収めるのは無理があるよ~って感じちゃうんじゃないかな。
かなりの描写がはぶかれているだろうから。

結果、人間ドラマとしても中途半端だし、山岳映画としても中途半端になってしまった印象。
圧倒的に時間が少なすぎたと思う。
だけど、この映画を観たおかげで俄然原作が読みたくなった。

カトマンズの雑多な雰囲気とか、エヴェレストの美しさとか、山に魅了された羽生さんの迫力とかはすごくよかった。
山男二人の熱い想いにグッとくるシーンもある。
山に登りたくなった。

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by wakabanokimochi | 2016-04-12 13:18 | 映画 | Trackback | Comments(0)



作品データ(映画.COM)

★★★<5段階評価>

小説が原作の映画を観たとき、原作と映画は別物だと割り切るべきなのか、原作と映画を比べていいものかいつも考えてしまう。
原作が面白かったり思い入れが強かったら余計に。

瑛太と松田兄ちゃん、多田と行天は相変わらずかっこよくて、二人のゆるっとした空気感はやっぱりいい。
ただねぇ、原作で描かれたエピソードをちょっとずつ全部詰め込んだせいで全体的にぼやっとしてしまい、原作の良さが消えてしまっていた。

肝は、子供に対する二人の戸惑い。
それと、多田の行天に対する思いと行天の多田に対する思い。
この3つの肝が相まって、ちょっと切ないような羨ましいようなバディーものが出来上がっているのに、映画ではその部分がうまく描ききれていなかった。
行天の少年時代のことが少し明らかになり、二人の心の傷もより深く描かれ、それによって二人の心の距離がグッと縮まる、その部分の描き方が弱い。
泣くつもりで映画館に行ったのに泣けなかったわぁ。
雰囲気はすごくいい映画なだけにとても残念。
だけど二人はすごくかっこいいよ。
映画を観たあとに原作を読むことを強くオススメします。
by wakabanokimochi | 2014-10-31 18:08 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 春を背負って



作品情報(映画.COM)

★★★<5段階評価>


テレビの映像に慣れているせいか、映像に薄い膜が掛かっているように見えて最初はちょっと違和感があった。
フィルム独特の質感なのかな。
見ているうちに慣れたけど。
山の美しさ、自然の美しさが素晴らしい。
雪山に登りたくなる。
本格的な夏もまだ来てないのにね。

「自分の居場所探し」と「家族愛」がテーマになっていて、今の私の心理状態にガツンときたのか、号泣して頭が痛くなった(笑)。
ツッコミ処はいくつかあるけど、それよりも、全体に溢れる優しい雰囲気が心地よくて、私は細かいことは気にならなかった。
ただ、ラストのラストはちょっとダメだと思う。
ラスト前のシーンがとてもよくてホッコリした気持ちになったのに、ラストのラストで「なんだかなぁ」と苦笑してしまった。
こっぱずかしくて見てられなかった(笑)。
なんであのシーンつけちゃったかな。
by wakabanokimochi | 2014-06-30 20:29 | 映画 | Trackback | Comments(2)