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★★★<個人的好き嫌いを5段階で表示>


自宅から映画館が遠いので、映画に行ったらハシゴをすることが多いのですが、この日は欲張って三本も見たのでさすがに頭が痛くなりました(笑)。
私は映画や読書など物語に入り込むと登場人物(大抵は主人公)に深く感情移入して、その人と同じくらい感情が動くのでものすごく疲れます。
その人が、怖かったり苦しかったり悲しかったりしたらなおさらです。
今回ハシゴした三本は人間の悪意や暴力性が全体を覆っているような作品ばかりだったので、久しぶりに映画酔いしてしまいました。

この作品は、三本の中では一番、エンターテイメント性の高い悪意の物語でした。
スマホを落としたことで主人公たちが悪意や恐怖に巻き込まれていくという展開は、今はそれほど目新しくもないし意表を突かれるようなこともほとんどなかったです。
だけど、エンターテイメント性と恐怖の塩梅がちょうどいい作品だったなと思います。
誰もが同じ目に遭うかもしれないという日常に潜む恐怖は身近に感じられる分怖いさも強いけど、サイコパスみたいな人物に自分が出会うはずがないと思っているからどこか他人事にも感じられて、だからお化け屋敷に入るような感覚で“自分とはあまり関係ない非日常”として物語を見ることができる、そういう作品だったと感じました。
犯人っぽいと思わせる人物が何人か出てくるんですが、それぞれが絶妙に気味悪くて良かったです。

◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2018-11-28 00:46 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 検察側の罪人




★★★<個人的好き嫌いを5段階で表示>


木村くん演じるベテラン検察官の思う正義と、二宮くん演じる新米検察官の正義。
『正義』という概念そのものが相対的なものだから人の数だけ正義の形があります。
だからこそ法律が必要で、法治国家ならその法に従うべきなのでしょうが、法律もまた完璧ではないから限界があり理不尽が生まれてしまいます。
法律の限界で生じた理不尽に憤って法を犯してしまうことは、もしかしたら理性の敗北なのかもしれないけど、でもやっぱり私は、木村くん演じるベテラン検察官に激しく感情移入しました。
もちろん、新米検察官の気持ちもわかるのですが。

主演二人の感情をぶつけ合う演技、とても良かったです。
少しダークな木村くん、すごく魅力的でした。

脚本が少しだけ気になりました。
小説の映画化は、時間の関係で原作を忠実に再現することができないのではしょったり繋げたりしなければいけないのはわかりますが、それにしてもこの作品はぶつ切り感が強かったように思います。
まず、木村くんの大学の友だちのエピソードと太平洋戦争のエピソードの描き方が不十分なせいで、本筋にうまいこと絡んでなかった気がします。
巨悪である宗教団体(?)と山崎努の登場も唐突すぎて、あまり意味がわかりませんでした。
私は原作を読んでいないので、もしかしたら原作を読んでいる人は映画で描かれていない部分を脳内で補完できるのかもしれませんが、だとしたら原作を知らない人を少し置いてけぼりにしてしまった印象です。
私は思い切って、メインの事件に向き合う木村くんと二宮くんだけを見せる脚本でもよかったのかなと思いました。
その部分をより深く描くことに時間を費やせば、例えば、木村くんと大学時代の寮生活(女子中学生とのことをメインに)のエピソードや、二宮くんが弁護士と一緒に画策するところなどをもっと見せてくれれば、二人の心情がもっともっと伝わってきただろうし、何より物語がすっきりとわかりやすくなったのでは、と感じました。


◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2018-09-26 22:28 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 嘘を愛する女



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★★★<5段階評価>

※若干のネタバレあります

高橋さんがもの凄く素敵だったのでおまけで★3つですが、本当は★2つくらいでした。

物語も面白そうだけど高橋一生さん目当てで観に行きました。
序盤にクモ膜下出血で意識不明になってしまうので出番は多くないけど、高橋さんの魅力が存分に発揮された作品でした。
高橋さんファンの見たい高橋さんでした。

小出桔平(高橋さん)を密かに好きな女の目線(川栄李奈さん演じるゴスロリ女に近い感情)で観てしまったので、傲慢で高飛車な長澤まさみさん演じる川原由加利という女性にイライラしてしまいました。

すぐに感情的になって相手が傷つく言葉を容赦なく投げつけるところが、無意識だとしたら救いようがないし、わざとだとしたら人として嫌なやつだし、今の暴言はマズがったと気づいても謝るでもなく、なんとなく違う話をしてその場を誤魔化そうとするところとかも人として嫌いでした。
しかも赤の他人の私立探偵(吉田鋼太郎さん)にも横柄なんです。
その吉田さんが「あんたみたいな女と5年も一緒にいたやつの気が知れない!」と言うシーンがあるんですが、ホントに「こんな女のどこがいいの!(キー!)」って思ってしまいました。

あと、川栄ちゃんの存在が純愛を汚しちゃってるのが気になりました。
桔平が素性を隠していたのは過去の出来事があったからで、だったら素性を隠していたことは仕方ないし、自分を好きな気持ちに嘘がないのがわかったから桔平を許そうと由加利は思うわけですが、ちょっと待て、川栄ちゃんの存在はいいのか?と思ってしまいました。

由加利という女性はちょっと嫌なところもある人間臭い人物で、素性が嘘ばかりの恋人は蓋を開けてみたら深い傷を抱えてはいるけど愛に嘘はない人だった、ていうのが物語的にもメリハリがつくし美しいし感動すると思うんだけど、川栄ちゃんの存在があるから、核心である由加利への愛の部分がボヤッとしています。
嘘も愛も浮気もある人間臭い者同士の人間臭い愛の物語でもなければ純愛にも思えない、桔平の愛が中途半端だから感動も中途半端だと感じました。
もっと純愛に振り切ればよかったのに。
ストーリーは面白いし、なんといっても高橋さんの小出桔平が魅力的だったので残念です。


◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2018-01-29 23:58 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 怒り



◆公式サイト → http://www.ikari-movie.com/
◆作品データ → (映画.COM)

★★★★★<5段階評価>


観ている間中、いろいろな感情が次々と溢れ出てきて、終始心をかき乱された。
胸の奥にグイッと小さな棘を突き刺されたようで、観終わったあともこの作品のことを考えずにはいられない、そんなチクチクしたものが残る。
とてもいい作品、好きな作品です。
ただ、けっして気持ちのいい映画ではないので、観る前にある程度の心構えは必要。

殺人事件の犯人は誰なのか?というサスペンスの要素はあるけれど、「信じることの難しさ」「人を愛するとはどういうことなのか」といったことがメインテーマの人間ドラマ。

※ 以下ネタバレあり




文章にまとめようと丸一日頑張ったけどまとめきれなかったので、感想や考察を箇条書きで連ねます。

◆◆◆
愛する人だから信じたいのに愛しているからこそ疑ってしまう、信じきれなかった自分に対する怒り。
信じていた人に裏切られた怒り。
信じて欲しかった人から疑われた悲しみ。

◆◆◆
映画の終盤、信じきれなかった自分に対する怒りで慟哭する登場人物たちを見て感じたのは、信じ抜く強さって心の強さなのかもということ。
心の芯の強さ、傷つく覚悟の強さとも言い換えられるかな。
結局、相手の言動うんぬんではなくて、自分の芯がどれだけ強いかということなのだと思う。
それは“信じないこと”でも言えることで、「愛したなら無条件に信じろ」ということではなくて、信じないと決めたならそれにも同じくらいの覚悟が必要だということ。
中途半端に信じるから傷つくし、中途半端に疑うから誰かを傷つける。
そんなことをグルグルと考えていたら、信じるってどういうことだっけ?と、なんだか自分でもわからなくなってきた。

もうひとつ、怒りで慟哭する登場人物たちを見て感じたのは、“信じる”のはとても難しいのに、“怒り”という感情がたやすく人の心を支配する怖さ。

◆◆◆
登場人物それぞれが何らかの怒りを抱えながらも、それを押し殺して、あるいは諦めて、あるいは見ないふりをして生きている。
観ている側も似たようなものを抱えていて、100%ではないにせよ登場人物の誰かに共感できる。
ただ唯一、殺人事件の犯人だけは、観客が共感できない稚拙で身勝手な怒りを爆発させる。
この、誰も共感できない(しにくい)“怒り”がストーリーの発端となって、観客も共感できる“怒り”が生まれていく。

◆◆◆
監督の言いたいことは、優馬(妻夫木聡)と直人(綾野剛)の東京パートで言葉にされていると思う。
このパートで語られるセリフは優馬たちだけでなく、千葉パートや沖縄パートにも通じるものがある。

病気で入院している優馬の母親が息子を戒めるように言う、
「大事なモノが多すぎる。大事なモノは少なくなっていくものなのよ」
という言葉。
優馬は笑いながら聞いているが、結局、一番大事にするべきものを大事にできなかったせいで後悔することになる。
自分の母親を献身的に看病してくれた直人に「葬式には出ないでくれ」という優馬の弱さ。
それを言われたときの直人の悲しみを思うと胸が痛い。

一番大事にすべきだったのは、千葉パートの洋平(渡辺謙)にとっては娘の幸せだっただろうし、愛子(宮崎あおい)にとっては田代(松山ケンイチ)だったはず。
沖縄パートの辰哉のとっては泉(広瀬すず)そのもので、泉にとっては辰哉だった。

だけどそれぞれの人物が、世間体や諦めの気持ちや自分の憤りなどを優先させてしまって一番大事なものを大切にできない。
そのあとに訪れるのは共通して“後悔の念”。

◆◆◆
ほかにも印象に残ったセリフをひとつ。

直人に「葬式に来ないでくれ」と言った優馬は「直人のことを同級生や同僚にどう説明していいかわからないから」と言うんだけど、そのときの直人の、
「わかろうとしない人にはどんなに説明してもわからないよ」
というセリフ。
とても共感できるので、心の中で思わず「そう!そう!」と叫んでしまった。

私自身、この直人のセリフと同じ思いを心の片隅に留めているつもりなんだけど、ついつい、わかろうとしない人にもわかってもらいたくて一生懸命説明してしまうという悪い癖がある。
案の定、やっぱりわかってもらえなくて、結果として徒労感と自己嫌悪だけしか残らなくて、その度に「聞かされる方も面倒臭いだろうから、もう熱く語るのはやめよう」と心に誓うのにまた語ってしまう。
だから、直人のセリフに過剰に反応してしまった。
(そして、そう言いながらもまたこんなに長い感想ブログを書いてしまう学習能力のない私。)

この直人のセリフも全パートに掛かっている。

発達障害(であろう)娘を男手ひとりで育てる苦労を周りはわからずに好き勝手噂話をする、と鬱屈した思いを抱く洋平。
愛子は、田代を信じる気持ちをお父さんも周りの人もどうせわかってくれないと諦めている。
理不尽な暴力で傷つけられた自分の怒りや悔しさは、どうせ言っても誰もわかってくれないから自分ひとりでかかえるしかないと怒る泉。
そして辰哉は、泉を守れなかったという深い自己嫌悪をわかってくれていると思っていた田中(森山未來)が、実はそうではなかったことを知って怒りを爆発させる。

それぞれのそんな思いをわかってくれる人もちゃんと存在するのに、わかってくれないことの憤りが湧いてしまう苦悩。
共感しすぎて苦しくなる。

◆◆◆
登場人物の中の誰かを通して自分自身を客観的に見せられているような居心地の悪さを感じさせる作品で、だからいつまでもこんなにこの映画のことを考えてしまうんだと思う。
映画を見終わってからずっと心の中で自問自答している気がする。
私にとっては、ちょっと大げさかもしれないけど人生のキーになる作品かもしれない。

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by wakabanokimochi | 2016-10-19 23:53 | 映画 | Trackback | Comments(0)