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【★★★(個人的好みを5段階で)】


閉所恐怖の人は息苦しくなって耐えられないんじゃないかと思うほどの、ロケット内の閉塞感。
その閉塞感と圧迫感は、作品そのものの重苦しさのメタファーになっているようにも感じます。
それと対比するような宇宙空間の美しさ。
普通の2D上映でも、ものすごい臨場感を感じることができました。

空中分解するんじゃないかと不安になるほどガタガタと激しく振動しながら飛ぶロケットが、宇宙に到達した途端に静寂に包まれる。
あの、耳鳴りがするほどの静寂のシーンには鳥肌が立ちました。
映像や見せ方のうまさは秀逸だと思います。

アームストロング船長のドラマの部分は終始重苦しく、このプロジェクトがどれほど過酷だったかということが、これでもかこれでもかと叩きつけるように描かれていました。
彼らの苦労をそういうふうに見せられたからこそ、アームストロング船長が月に降り立つシーンでは深い感動を共有できます。

宇宙飛行士マンガの金字塔(と私は思っている)『宇宙兄弟』のなかで、子供の頃からの夢を叶えて月に行くことになった弟のヒビトが「宇宙飛行士は宇宙で死んではいけない。子供たちに、宇宙飛行士は宇宙で死ぬかもしれない仕事なんだと恐怖心を持たせてはいけない。生きて帰ってこなくちゃいけない(大意)」というようなことを言うのですが、私はこの言葉に感動しました。
宇宙のことを探求するだけが宇宙飛行士の仕事ではなくて、宇宙に憧れている子供たちの希望になることも仕事なんだと。
なんてかっこいい仕事なんだと改めて思ったシーンです。
だから、この『ファースト・マン』の重苦しさは私には少し重すぎのように感じてしまいました。
ただ、宇宙開発のこういう辛い部分に目をつぶるわけにはいきませんものね。
それももちろんわかります。

夢が詰まって希望に満ちているという作品ではなかったけど、とても臨場感のあるドキュメンタリーのような映画でした。


【◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2019-03-21 23:24 | 映画 | Trackback | Comments(0)

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【★★★★(個人的好みを5段階で)】


勝海舟の目から見た幕末の動乱。
勝海舟の目から見た西郷隆盛という男。

日本を守るため、日本の人々を守るため、幕末の動乱のなかを奔走する勝海舟の熱い思いに、読んでいるこちらの胸も熱くなります。

あのときの日本には「自分がなんとかしなくては!」という人が、どうしてあんなにいたんだろう?
今の日本にいなさすぎるのかな?
それとも、私が知らないだけで実はいるのかな?

近代日本の方向性を決めた幕末の話は面白いです。
去年の大河ドラマ『せごどん』を見なかったことが、この本を読んだら少し悔やまれます。
西郷さんの生き様が知りたくなりました。



作品紹介(Amazonより)--------------------------
慶応四年三月。
鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は、徳川慶喜追討令を受け、江戸に迫りつつあった。
軍事取扱の勝海舟は、五万の大軍を率いる西郷隆盛との和議交渉に挑むための決死の策を練っていた。
江戸の町を業火で包み、焼き尽くす「焦土戦術」を切り札として。
和議交渉を実現するため、勝は西郷への手紙を山岡鉄太郎と益満休之助に託す。
二人は敵中を突破し西郷に面会し、非戦の条件を持ち帰った。
だが徳川方の結論は、降伏条件を「何一つ受け入れない」というものだった。
三月十四日、運命の日、死を覚悟して西郷と対峙する勝。
命がけの「秘策」は発動するのか――。
幕末最大の転換点、「江戸無血開城」。
命を賭して成し遂げた二人の“麒麟児”の覚悟と決断を描く、著者渾身の歴史長編。
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【これまでの読書感想はこちら → 備忘録代わりの読書感想ブログ ワカバの本棚
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by wakabanokimochi | 2019-03-19 21:18 | 読書 | Trackback | Comments(0)

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林遣都くんが出演している舞台、三島由紀夫戯曲の『熱帯樹』を観るために兵庫県立芸術文化センターまで遠征してきました。

旅のお供は、『熱帯樹』が図書館になかったので、同じく三島由紀夫著の『仮面の告白』。
読書は好きだけどこのくらい古い年代のものを読むのは苦手で、芝居を観る前はやっぱり読みにくかったけど、舞台を観たあとは三島由紀夫の世界観がなんとなくわかった気がしたので読み切ることができました。

こういう、ちゃんとした舞台のお芝居をちゃんと観るのは初めて。
お芝居が始まってすぐは、非日常の架空の世界が目の前で実際に繰り広げられているという不思議さに圧倒されてしまいましたが、すぐに物語の世界に引きずり込まれました。

ある家族の歪んだ愛憎劇。
普段から背徳的な雰囲気をまとっている(と私は勝手に思っている)遣都くんの魅力が、いかんなく発揮された作品だったのではないかと思います。
鬼気迫る岡本玲さんからも目が離せなかったし、鶴見辰吾さんと中嶋朋子は言わずもがな。
栗田桃子さんは初めて知った役者さんでしたが、家族全員が狂人的な歪みを抱えているなかで唯一まともな人物であり、物語を後ろから支える重要な人物を、自愛に満ちているようでもあり冷淡な傍観者でもあるようにとても自然にそこに存在していて、すごく魅力的な女優さんだと思いました。
なんといっても声がいい。

映画もドラマもアニメも小説も、物語であればなんでも好きですが、舞台もものすごく面白いです。
映画、ドラマ、アニメ、漫画がビジュアルで物語を伝えるコンテンツなら、舞台は、観客の想像力に委ねる小説と同じ種類のコンテンツだと思いました。
限られた舞台装置だけで空間を作り、あとは役者のセリフと表現力と観客の想像力で物語の世界観を作り上げる。
とても文学的です。
なのに静かな激しさをはらんでいる、とても刺激的な娯楽です。
自分たちの作り上げた世界観を全力でぶつけようという役者さんたちの熱量がびしびし伝わってくるし、それを固唾をのんで受け止めて自分の中で咀嚼しようとする観客席の静かで張り詰めた雰囲気もいい。

お金と時間とチケットの当選といういくつものハードルをクリアできるなら、もっともっといろんな舞台を観たいです。
九州だと上演される作品が限られてくるという一番大きな問題もあるわけだけど。
今回のチケットも、パブリックシアターの先行、遣都くんの事務所の先行、兵庫県立芸術文化センターの先行、チケットぴあ、ローチケ、あらゆる手段を駆使して最後列をやっと1枚ゲットという最難関。
たくさんの人がもう少しだけ簡単にお芝居を観られるシステムができればいいのにと思います。


夜行バスでの弾丸遠征で早朝に兵庫に着いたので、ついでと言ってはなんですが、姫路城まで行ってきました♪
すごい、本当に真っ白でした。
どこから見ても絵になる、凛とした美しいお城でした。

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by wakabanokimochi | 2019-03-15 01:27 | 旅・お出かけ | Trackback | Comments(0)



【★★★★★(個人的好みを5段階で)】


去年(2018年)11月に公開された作品だから劇場でやっているところはほとんどないのかもしれないけど、隣町の小さな映画館でかかっていたので観てきました。<日田市の映画館 → HITA LIBERTE> 

私の好きな映画(だけではなくて、物語全般)には二通りの要素があって、ひとつは、あれはああいう意味だったんだろうかとかあのセリフにはこういう意味が込められていたんじゃないだろうかとか、あとで侃々諤々と語り合いたくなる作品です。
私が観たなかでの代表作は『シン・ゴジラ』。
もうひとつは、意味とか意図とか思惑とか考える余地を与えないほど感情を掻き乱す、衝動性の強い作品。
私が観たなかでの代表作は『万引き家族』とか『パンク侍、斬られて候』とかです。
矛盾していることを言っているように聞こえるかもしれないけど、私のなかでは全然矛盾していなくて、この二つの要素はコインの表と裏のようなものだと思っています。

さて、この『生きてるだけで、愛。』ですが、これは完全に後者のタイプの作品でした。
鬱気味で精神的に不安定な寧子(趣里)の言動が最初はとても癇に障るのですが、観ているうちにどんどん寧子の感情に引っ張られていって、最後には寄り添ってしまっているという感じでした。
私はエキセントリックな人が苦手です。
衝動的な言動が理解不能で、理解不能なものは怖い。
何をしでかすかわからない不安感が怖いし不愉快だし居心地が悪いのです。
最初は寧子をそういうふうに見ていたのですが、寧子の抱える生きづらさの種類がわかってくると、こちらの感情もだんだん共感していって共鳴していって、寧子を抱きしめたいような、逆に抱きしめられたいような、居ても立ってもいられない気持ちになります。
寧子の暴発するような激しさと、抑え込んでいるだけで実は寧子と同じくらいの衝動がくすぶっている津奈木(菅田将暉)のギリギリさが、痛々しいしやりきれないし、そしてかなり羨ましい。
私はエキセントリックが苦手だからあんなふうにエキセントリックにはなれないし、あんなふうに青臭く泣き叫ぶことはないけど、もう少しエキセントリックに生きてみてもよかったなぁ、などと、ちょっとだけ羨ましく思ってしまいました。

感情が揺さぶられすぎて少しだけ鬱気分を発動させてしまいました。
それだけ、いい映画。
もう一回観たいです。
原作も読んでみようと思います。


【◆作品データ → 映画.COM


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by wakabanokimochi | 2019-03-07 18:00 | 映画 | Trackback | Comments(0)