2022年 05月 24日
【映画】 死刑にいたる病
【★★★★★(個人的好みを5段階で)】
凄い映画を観てしまった、という感じです。
わたしはホラーとかサイコパスものとかを観ても「怖い」とはあまり思わないのですが、これは怖かった。
たくさんの作品でいろいろなシリアルキラーが描かれてきましたが、わたしが今まで観た中で、この映画の榛村(阿部サダヲ)が一番怖いと感じました。
以下、多少ネタバレあるかもです。
まず、犯行のシーンがえげつなくて正視できないほどでした。
目をつぶってしまうのは嫌なので薄目で観ましたが、血圧が上がりそうでした。
そんな残虐なことを淡々と行う榛村の穏やかさ、気さくに笑っているのに感情が伝わってこない仮面のような顔、心の奥まで見透かすような真っ黒な目。
三枚目でコミカルなイメージの阿部さんが演じることで、とんでもないシリアルキラーが自分のすぐそばにもいるような錯覚を起こして本当に恐ろしくなります。
雅也を演じる岡田健史くんも素晴らしかった。
わたしは岡田くんを天才だと思っているのだけど、この人が演じるとキャラクターが本物になるように感じます。
“演じている”というよりはその人物に“成っている”ように見えるのです。
だから、物語の中に彼がいると、作り物の世界なのにリアル感が生まれて作品が生き生きとします。
岡田くんは俳優になるために生まれてきた人だと思います。
そんな岡田くん演じる雅也の、子供のころから抑圧されてきた感情や精神が徐々に開放されていく様子が、見ていて本気でハラハラしました。
かわいがっていた親戚の子が闇落ちしていくのを止められなくてやきもきするような、そんな感情になりました。
映画が始まってから終わるまで、怖かったり痛かったりハラハラしたりおののいたり、とにかくずっと感情が揺さぶられました。
【◆公式サイト → https://siy-movie.com/】
【◆作品データ → 映画.COM】