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【読書】 宇喜多の捨て嫁 / 木下昌輝

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★★★★<5段階評価>

宇喜多直家とその周りの人物を主人公に書かれた連作短編集。
四人の娘たちを戦の道具にして、下克上の世で成り上がっていく宇喜多直家。
「梟雄」と呼ばれた男の生涯が、様々な人の目線で断片的に描かれている。
多角的に描くことによって宇喜多直家という人物像を浮き上がらせる作品。

歴史に疎い私は宇喜多直家という人を知らなかったんだけど、腹黒く卑怯な裏切り者として有名らしい。
確かに、作品最初の一遍は、嫁入り直前の直家の四女・於葉が、病床に伏した直家に対して憎悪をむき出しにした物語になっている。
病床の直家の怪物感や全体に漂う陰鬱さに、直家の悪辣さを感じる。
ただ、読み進めるうちに、戦国の世で成り上がらなければならなかった、どんな手を使ってでも勝たなければならなかった苦悩や悲哀や覚悟を感じて、ただの極悪非道な悪者とは思えず、もっと宇喜多直家という人を知りたくなった。



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by wakabanokimochi | 2015-06-10 21:20 | 読書 | Trackback | Comments(0)