ワカバノキモチ 朝暮日記 asakure.exblog.jp

趣味のことをいろいろと


by wakabanokimochi
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タグ:海外文学 ( 7 ) タグの人気記事

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★★★<5段階評価>

作品紹介(Amazonより)--------
テレビのドキュメンタリー制作者のキャサリン。
彼女は順風満帆の生活を送っていた。
手がけた番組が賞を獲得、夫は優しく、出来がいいとはいえない息子も就職して独立している。
だが、引っ越し先で手にした見覚えのない本を開いた瞬間、彼女の人生は暗転した。
主人公は自分自身だ。
しかもその本は、20年間隠してきた秘密を暴こうとしている!
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キャサリン側の視点と、謎の本を書いたスティーヴン側の視点、交互に物語が進む。
読み進めるうちにキャサリンの秘密が少しずつつまびらかになるが、最後には読者の予想に反する秘密が明かされる。
この、少しずつ少しずつという感じが焦れったくて先が気になって仕方ない。
グイグイ読者を引っ張っていく、読ませる作品。

グイグイ引っ張ってきたわりに、クライマックスの展開が意外にあっさりだったのがちょっと肩すかしだったけど、それでも十分面白い。
あと、読後に冷静になったら登場人物の心境を理解しにくいところもあったけど(なぜあの人はそういう行動をとったのかとか、なぜこの人は簡単に納得したのかとか)、そういう人物の機微は深く考えずにサスペンスの展開を楽しめばいいと思う。

とても映像向きな作品。


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by wakabanokimochi | 2016-05-27 21:30 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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★★★<5段階評価>

作品紹介(Amazon)---------
100歳の誕生日パーティーを目前に、おしっこ履きのまま老人ホームを逃げ出した主人公アラン。
お酒(とくにウオッカ!)が大好き、宗教と政治が大嫌い。
ひょんなことから手にした大金入りスーツケースをめぐってギャングや警察に追われることとなり、途中で知り合ったひと癖もふた癖もあるおかしな仲間とともに珍道中を繰り広げる。
一方、過去のアランはというと、爆発物専門家としてフランコ将軍やトルーマン、スターリンと日夜酒を酌み交わしては、エポックメイキングな人物として世界史の重大シーンにひょこひょこ顔を出す。
アランの逃避行と100年の世界史が交差していく、二重構造ならぬ「百重構造」のドタバタコメディ!
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ハチャメチャっぷりが面白くて止まらない。
トラブルの中心人物・アラン本人は波乱を巻き起こす気なんてさらさらないのに、事態はどんどんと大変な方に向かっていく。
100年も生きてきてたくさんの修羅場をくぐり抜けてきたアランじいさんは、そんな最悪な状況にも「どうにかなるさ」と動じない。
そんなじいさんのひょうひょうぶりが痛快。


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by wakabanokimochi | 2016-05-08 10:52 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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★★★★<5段階評価>

作品紹介(Amazonより)--------
「次に何が起こるかなんてわからないわ。そもそも、人生ってそういうもんでしょ」

人種差別の激しかった南アフリカで、し尿処理場で汲み取り桶運びに明け暮れる女の子がいた。
ノンベコ13歳。
天才的な数学の才能はあるけれど学校には行ったことがなく、だから当然読み書きのできないこの少女が、大人になって遠くスウェーデンの国王と首相の命を救うことになろうとは、誰も予想だにしていなかった。
物語の舞台は南アフリカからスウェーデンへ――。
開発の途上で余ってしまった爆弾1個をめぐって、全然似てない双子、いつもへべれけの爆弾開発者、じゃがいも農家の伯爵夫人、のん気な王様、きれい好きな首相、モサド諜報員、そして胡錦濤国家主席まで、ひと癖もふた癖もある人物が入り混じって、てんやわんやの大騒ぎ。
爆弾は誰の手に? ノンベコの恋の行方やいかに? そして、スウェーデン国王は共和主義者の魔手から無事逃れられるのか?!
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とにかくハチャメチャ、奇想天外。
ブラックユーモア満載の知的なコメディ。

とても頭の良い少女が、黒人であるというだけでまともな教育を受けられず、爆弾工場に監禁されて奴隷のような扱いを受ける。
こんな風に書いてしまうととても悲惨な状況なのに、そんな暗さや重さを感じさせない軽快さと滑稽さがいい。
少女・ノンベコが天才的な頭脳をフル回転させて、最悪な状況を最善な方へと変えようと奔走する姿は痛快。
まともな人間がほとんどいないので、なかなか物事が好転しないのがまどろっこしくてハラハラさせられる。
史実がふんだんに織り込まれているので妙なリアリティがあるのもいい。


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by wakabanokimochi | 2016-03-30 20:49 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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★★★★★<5段階評価>

作品紹介(Amazonより)-----------
オーガスト・プルマンは普通の男の子。
ただし、顔以外は。
生まれつき顔に障害があるオーガストは、幼い頃から人に怖がられたり、ぎょっとされることが多かった。
10歳ではじめて学校に通うことになったが、生徒たちはオーガストの顔をみて悲鳴をあげ、じろじろながめ、やがて「病気がうつる」と避けるようになる。
一方で、オーガストの話をおもしろいと感じる同級生は少しずつ増えていた。
そんなとき、夏のキャンプで事件が起こる…
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児童書ではあるけれど、大人にもオススメしたい素晴らしい作品。
「障害にもいじめにも負けずまっすぐに生きる男の子」みたいなありきたりな物語ではないのがいい。

主人公・オーガストだけの目線ではなく、彼の姉、姉の友達、オーガストのクラスメイトたち、それぞれの目線の章で構成されていて、オーガストの周りの人々が抱く様々な思いが多角的に描かれている。

10歳まで家族の愛に守られて育ったオーガストが初めて学校に通うことで深く傷つきもするけど、大きく成長もする。
同時にクラスメイトたちも。
誤解やすれ違いが生まれたり、怒ったり許したり信じたり諦めたり、人と関わって生きるうえで避けられない様々を彼らは学んでいく。

読者としては、オーガストを取り巻く心ない視線や言葉に憤りを感じるけど、彼を取り巻く愛ある存在に救われたりもする。
読んだあとは、温かくて清々しくて晴れやかな感情で心が満たされる。

作中の国語の授業で出てきた格言。
「正しいことをするか、親切なことをするか、どちらか選ぶときには、親切を選べ」
というのは、私の今後の指針のひとつになった。


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by wakabanokimochi | 2016-01-12 13:34 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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★★★★★<5段階評価>

1996年に起きたエベレストでの大量遭難。
その時、ガイドとしてマウント・マッドネス隊の遠征に参加したロシア人登山家・アナトリ・ブクレーエフ氏の著書。
ライター(主に人権問題を扱う)のG・ウェストン・デウォルトがブクレーエフ氏や関係者に取材をして書いた部分と、ブクレーエフ氏本人の言葉で書かれた部分とで構成されている。

この遭難事故の直後に出版されたジョン・クラカワー氏の『空へ』を読んだなら、本書もセットにして読むべきである。
なぜなら、『空へ』では、ブクレーエフ氏はガイドとしての役目を十分に果たさなかったと批判気味に書かれていたが、本書はそれに反論する意味も込められたものだからである。

ブクレーエフ氏がマウント・マッドネス隊のスコット・フィッシャーに依頼されて隊に参加するまでの経緯、登山を開始してからのメンバーや他の隊の様子、遭難事故が発生してからのブクレーエフ氏の行動、その後のマスコミ対応やジョン・クラカワー氏との問題、翌年にエベレストへ戻ってスコットと難波さんの遺体を埋葬したときのことなどが詳細に語られている。

本来なら人間が生存不可能な環境下で起きた事故である。
ブクレーエフ氏のマウント・マッドネス隊もジョン・クラカワー氏のアドベンチャー・コンサルタンツ隊も、それらに参加した人のほとんどが遭難状態にあって、命からがらテントに戻って来た人には救助に行けるだけの体力は残っていなかった。
そんな中、唯一体力に余裕があるように思われたブクレーエフ氏はほかの助けを得られないままブリザードの中に救援に向かい、自分の隊の顧客の命を救う。
これは自分の命を危険に晒す行動であり、賞賛されるべきである。
スコット・フィッシャーとロブ・ホール、2つの隊のそれぞれの隊長であり実力のあった登山家二人が死に、ブクレーエフ氏は生き残った。
もしこの時ブクレーエフ氏も死んでいたならこれほど非難はされなかったのかもしれない。
彼が生き残ったことで非難の対象になったのなら、それはあまりにもひどい話だと思う。
彼が生き残れたのは、パニックに陥りそうな自分を冷静に抑えることができた強靭な精神力と、経験豊富な登山の知識があったからである。

事故の翌年、ブクレーエフ氏はエベレストに戻ってスコットと難波康子さんの遺体を埋葬する。
遺体の周辺に散らばっていた遺品を持って下山し、カトマンズで遺品を届けてくれそうな日本人を探す。
そこで偶然にも難波さんの夫・賢一さんと付き添いの貫田宗男さん(イッテQ登山部の隊長)と出会う。

さらにその翌年の1997年、ブクレーエフ氏はアンナプルナで雪崩遭難死する。
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by wakabanokimochi | 2015-12-23 14:44 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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★★★★<5段階評価>

1996年のエレベスト大量遭難で、一度は死んだものとしてブリザードの中に放置されたたものの、奇跡的に意識を取り戻して自力でキャンプまで戻り、見事に生還を果たしたベック・ウェザーズの著書。

遭難事故の記述は前半部分のみ。
大半は彼の半生記。

まだ遭難事故が起きるずっと前から、医者として成功し家族にも恵まれ、幸せそうな人生を送っているように見える彼だったが、実は重いうつ状態に悩まされて自殺さえ考える毎日だった。
そんな中で登山に出会い、取り憑かれたように山にのめり込んでいく。
家族はほったらかしで仕事とトレーニングと山登りに没頭するベック。
家族を顧みない夫に不満と怒りを溜め込んでいく妻のピーチ。
次第に家族との絆は切れつつあった。
妻・ピーチの我慢が限界になろうかというとき、あの遭難事故が起きる。

山にのめり込んでしまった男とその家族の人間ドラマが赤裸々に綴られた一冊。

仕事での地位もお金もあって、身体的には健康で趣味に没頭できる、そんな恵まれたように見える環境の時には精神的病んで自殺を考えていた彼が、凍傷で鼻と両手を失って不自由になったからこそ逆に心が救われていく。
上昇志向の強い完璧主義の男が、不完全になってから心が自由になっていく様子に強く共感した。


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by wakabanokimochi | 2015-12-01 13:42 | 読書 | Trackback | Comments(0)
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★★★★<5段階評価>

著者は、カリフォルニア大学脳認知センターの教授兼所長をされてて、鏡を使った幻肢痛の治療を始めた方。
「奇妙な神経疾患を調べることで正常な脳の機能が学べる」ということで、稀な神経疾患の研究をされている。
本書は、著者の研究でわかったことをド素人にもわかるように説明してくれていて、ものすごく面白い。

科学とは真反対にあるとされていた人文学や哲学や芸術に、神経疾患の研究という方向からアプローチされていて、これがまたものすごく面白い。

本書に出てくる「奇妙な神経疾患」を一部紹介。
今まではこれらの症状を訴える患者を「嘘を言っている」「頭がおかしくなった」「精神的な問題」と片付けてきたけど、詳細に調べたら脳の一部に起きた疾患であることがわかったと、著者は述べている。

・カプグラ症候群
視力は正常なのに、自分の親や兄弟、配偶者などの肉親を「偽者」と決めつける(確信)するシンドローム。

・幻視
事故や病気で四肢を失った人が、無いはずの腕や足を「ある」と感じる。
痛みや触られた感触なども感じる。

・共感覚
特定の音程を聞いたり特定の数字や文字を見たときに特定の色が見える。
例えば「ドの音」は赤、「ファの音」は青、「5」は赤、「6」は緑に見える。

・盲視
脳損傷のために目が見えなくなったのに、目が見えなければ不可能と思える課題を実行できる。
たとえば、手を伸ばして物を掴んだり、ディスプレイに映し出された点を指し示したりできる。

・半側空間無視
右頭頂葉が損傷されると、自分の左側を無視するようになる(無関心になる)。
お皿に乗った料理の右半分だけを食べ、男性は右半分だけヒゲを剃り、女性は右半分だけに化粧をする。

・病態失認
四肢に麻痺があるにもかかわらず、「麻痺などしていない。ちゃんと機能している」と言い張るシンドローム。

・コタール症候群
「自分は死んでいる」と言い、体から腐臭がする、体にウジが湧いていると言い張る。



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by wakabanokimochi | 2015-04-21 21:04 | 読書 | Trackback | Comments(0)