ワカバノキモチ 朝暮日記 asakure.exblog.jp

趣味のことをいろいろと


by wakabanokimochi
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カテゴリ:映画( 49 )

【映画】 メッセージ



★★★★★<5段階評価>


ある日、宇宙からの飛行体と思われる巨大物体が世界12の場所に突然現れる。
言語学者のルイーズは軍の要請を受け、科学者(数学者?)のイアンと共に謎の知的生命体との意志の疎通を図ることを試みる。
彼らが地球に来た目的とは何なのか…。


私の大好物なタイプの作品。
宇宙人飛来もののSF映画でありながらハリウッドお得意のドカン・バキュンはほとんどなく、むしろ哲学めいたヒューマンドラマの趣きがあり、どこか東洋的な思想も感じさせる静かさがありながら、でもやっぱりものすごくSFという映画だった。

科学と哲学って両極端なものだと思いがちだけど実は表裏一体で、科学を突き詰めると哲学めいてくるし、哲学も突き詰めると科学的に見えるし、両者の境目って実は曖昧なんじゃないかと思うことがあるんだけど、そういう感覚を味わえる。

「あなたの人生の物語」というSF小説が原作で、小説の方ではフェルマーの原理(光は光学的距離が最短になる経路、すなわち進むのにかかる時間が最小になる経路を通る、という原理)がキーワードになったり、科学的な専門用語などが多用されているらしいんだけど、映画の方ではそういう難しさはほとんどない。

ただ、時間の概念とか、サピア=ウォーフの仮説(言語はその話者の世界観の形成に差異的に関与することを提唱する仮説)とか、そういうものがキーワードにはなってくる。

2回、3回と観ることで面白さが増す作品だと思う。


◆作品データ → 映画.COM

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by wakabanokimochi | 2017-06-02 16:14 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 美女と野獣



★★★★★<5段階評価>


ディズニー・アニメーションの中で1・2位を争うくらい好きな作品。(『アナと雪の女王』が公開されるまではダントツ1位だった!)

26年前、初めてアニメの『美女と野獣』を見た時は衝撃的でした。
特にベルと野獣の舞踏会のシーンの美しさと言ったら!
当時の最新CGを多用して描かれたこのシーンに度肝を抜かれました。
VHSを買って何度も何度も観たものです。

そして、今回の実写化。
アニメ版がほぼ忠実に再現されていて、アニメ版ファンも納得の作品になっています。
冒頭の、村の朝のミュージカルシーンの再現度の高さは素晴らしくて、建物などの背景の質感もおとぎ話の絵本のようでかわいらしくて、一気に作品に引き込まれます。
アニメ版を最初に観たときと同じ感動とときめきを感じました。

野獣も家財道具に変えられた家来たちもとてもしっくりと馴染んでいました。
それと、ガストンがまんまガストンだった!

残念なことがひとつだけ。
ベルと野獣の心の距離が縮み始める日常のシーンがちょっと少ないと感じた!
特に、アニメ版での雪の庭で、ベルが野獣の手に鳥の餌を持たせると小鳥たちが寄ってくるシーン。
あのときの野獣の困った顔がかわいくて大好きだったので、それがなかったのがとても残念!

もう何回かは劇場のスクリーンと音響で観たい作品です。

VFXの技術でこの作品をここまで実写化できるのなら、ほかの作品も可能ですね。
『アナと雪の女王』の実写も観てみたいものです。(〃▽〃)


◆作品データ → (映画.COM)

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by wakabanokimochi | 2017-05-11 14:30 | 映画 | Trackback | Comments(0)


★★★★<5段階評価>


事前情報をほとんど入れずに観たのだけど、ディズニーはいい意味で毎回予想を裏切ってくる!

今回のヒロイン・モアナは、今までのディズニーヒロインの中で一番活発でアグレシブかもしれない。
そして、何と言ってもキュート!
いわゆるお姫様系の美人ではないけど、むっちりとしたスタイルとボリュームのある黒髪でセクシーささえ滲む。
ディズニーの女の子の中で、ティンカー・ベルの体型が一番好きなんだけど、モアナも同じように肉感的で好き。

『アナと雪の女王』でもそうだったけど、最近のディズニーは女の子の容姿を完璧には描かない。
アナとエルサもそばかすがたくさんあったし、このモアナもぺちゃ鼻だし。
『ポカホンタス』や『ムーラン』とかの低迷してい頃のディズニーの、ヒロインをあえて個性的に描くというのとは違って、キュートなんだけど完璧じゃないというのが人間臭くてとてもいい。

あと、これも毎回思うけど、キャラクターの演技力がいい!
特に目の演技。
それと細かい仕草の演技。
それらの演技で心情を表現するのでキャラクターたちがとても生き生きしている。

それから、海の描写は圧巻!
実写かと見紛うほどの素晴らしさ。
氷とか水とか今回の海とか、自然物の再現度の高さが毎回上がっていくのがすごいし、ディズニー作品の見どころのひとつだと思う。

ここからは少しネタバレ。

予想を裏切られたと思ったポイントは、悪者がいないということと恋愛要素が一切ないということ。
お姫様系ディズニー作品の定番とも言えるこの二つの要素を排除したというのは、作品を作るたびに前回を上回る試みをしようというモットーを掲げたディズニースタッフの挑戦だと思う。
そして、その試みは成功したと思う。

『もののけ姫』を少し感じる作品ではある。
『もののけ姫』は自然と人間の共存の必要性と難しさを描いた作品という印象で、この『モアナと伝説の海』は自然の脅威を恐れたり恵みに感謝したり、自然に対して敬意を払いながら生きることを描いていると感じた。


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by wakabanokimochi | 2017-04-05 23:13 | 映画 | Trackback | Comments(0)


★★★★★<5段階評価>


日田の映画館・リベルテに『この世界の片隅に』が来たので、観たいと言っていたシンちゃんと行ってきた。
私は3回目(笑)。
私はお気に入りの映画は(本でもアニメでもマンガでも、物語はなんでも)何度でも観たい派なのです。

感想は前に観たときに書いたので割愛するけど、後世に語り継ぐべき作品だと思うということだけは何度も言いたい。 ※前回の感想 → 2016年11月27日の記事 【映画】 この世界の片隅に

戦争の残酷さをクローズアップして見せるのも大事だと思うが、戦争という異常な状態が日常化していく様子を描いたこの作品は庶民にとっての戦争をリアルに伝える映画。
『はだしのゲン』や『火垂るの墓』など、子供にも観せたい戦争映画というのはいくつかあるけど、その筆頭がこの作品だと思う。

すっかりストーリーはわかっているのに、物資や食料が少ないなかで一生懸命生きるほんわかしたすずさんを見ていると、どうか悲しいこと・怖いことが彼女に降りかかりませんようにと祈るような気持ちになって、すずさんがお嫁に行ったとこあたりからすでに泣けてきて、後半は大号泣になって、観終わったあとは軽く頭痛がするほど。
何度観ても胸がギュッとなる、いい映画です。


リベルテもとても素敵で、雑貨があったり本があったりお茶もできて、すごく雰囲気のいい空間でした。
リベルテ → http://liberte.main.jp/


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by wakabanokimochi | 2017-03-24 22:02 | 映画 | Trackback | Comments(0)


★★<5段階評価>


ミュージカル映画が大丈夫な人しか観ないだろうからミュージカル映画が好きか嫌いかは置いておいて、ストーリー展開や結末の点で、人によって好き嫌いがわかれる作品だと思う。

私の感想は、面白くないわけではなかったけど心のツボには刺さらなかったかな。

ミュージカルシーンの華やかさや陽気さは気持ちよかった。
特に、予告でも流れている、渋滞した高速道路で大人数が歌い踊るシーンは思わず拍手したくなるほどだった。

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by wakabanokimochi | 2017-03-21 21:09 | 映画 | Trackback | Comments(0)


★★★★<5段階評価>


なるべくネタバレしないように書きます。

この作品を観た感想とか印象とかは、西洋文化圏の人、キリスト教徒、ただの日本人など、立場が変われば全然違ってくると思う。
日本のことをあまりよく知らない海外の人が観たら、日本はなんて野蛮な民族なんだと思うんじゃないだろうか。

タイトル通りとても静かな作品。
オープニングからエンディングまで、ほとんど音楽は流れなかったと思う。(音楽を聴いた記憶がないから全く流れなかったかも)
波の音と虫の声がとても印象的。

長崎での激しいキリスト教弾圧が描かれているのだけど、その悲惨さとか残酷さだけを伝えるための作品ではない。
人間にとって宗教とは何なのか。
ひどい弾圧を受けながらも信仰を続けた人々にとってのキリスト教とは何だったのか。
弾圧をした権力側にとってのキリスト教とは何だったのか、そして、何故、それほど厳しく弾圧したのか。
そんなことが混沌と渦巻いていて、観ているうちに、何が(誰が)正しくて何が(誰が)間違っていてどうするのが正解なのかわからなくなってくる。

拷問なんて絶対だめだし、宗教を理由に人を殺すなんて絶対だめなことは当然わかっているけど、だけどちょっとだけ、異国の宗教が広まっていくことに危機感を募らせる権力側の気持ちもわからなくないと思ってしまった。
異国の宗教(思想)が徐々に、しかも草の根的に広まっていくことは、他国に侵略されている感覚だったんじゃないだろうか。
有無を言わさず拷問したり手当たり次第にキリスト教徒たちを殺したりしたわけではなく、非道さの前に寛容さと慈悲の心もあったように感じた(ものすごく感じた)のは、私がキリスト教徒ではない上に日本人だからなのか。
こんな風に思ってしまうのは正しくないのか?とか、自分が今まで構築してきた価値観を揺さぶられるようで不安になり、ぐるぐるといつまでも思考が止まらない。

一番不寛容だったのは誰だったんだろう。




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by wakabanokimochi | 2017-02-09 00:40 | 映画 | Trackback | Comments(0)



★★★★★<5段階評価>


なるべくネタバレしないように書きます。


絵を描くのが好きでちょっとおっとりした主人公のすずは、広島で生まれ育った。
昭和19年、19歳になったすずは見初められ、軍港のある町・呉へと嫁ぐ。
慣れない土地での慣れない生活にドジばかりの毎日。
日ごとに戦争の影響が色濃くなり、配給の食料は減り空襲は増えていく。
それでも、ささやかだけどさりげない幸せを噛みしめる日々を送っていた。
だけど時は容赦なく流れ、昭和20年の8月が訪れる。


クラウドファンディングで資金を集めて制作されたが、大手配給会社は着かなかったのでメディアで取り上げられてないうえに単館でしか上映されてないにもかかわらず、たくさんの賞賛の口コミで評価が上がったという異例の作品。

先の戦争を描いた作品は、映画でも小説でも手記でも、それはそれはたくさんあるけれど、この作品もぜひぜひ観て欲しい。
あの戦争を忘れないために、語り継ぐために、それぞれが思いを馳せるために。

監督が6年の歳月をかけて、当時の町並み・人々の暮らしの様子・空襲の日時などを徹底的に調べ上げて作られているので、主な登場人物たちはフィクションだけど、ほとんどドキュメンタリーと言ってもいいものだと思う。
“戦争”という大枠ではなく、その状況下でささやかに暮らす人の日常を切り取ったドキュメンタリーのような作品。

戦時中を描いた作品なので当然ハッピーなものではないんだけど、鑑賞後はとても不思議な感情で満たされた。
悲しさや悔しさや理不尽さも感じるんだけど、ほんのりとした幸せや力強さも同時に感じて、そういう相反するようないろいろな思いがないまぜになって、なんだか悲しかったようなホッとするような。
けっこう号泣してしまったんだけど、悲しい涙なのかそうじゃない方の涙なのか、自分でもわからなくなった。

戦時下の人々の“日常”が、今の平和(戦争中ではないという意味の平和)な日本の“日常”とは違うことをまざまざと見せつけられる。

戦地で死んだ家族の遺品としてただの石ころが帰ってきたとき、泣き叫ぶでもなく、死んだという事実をストンと受け入れる人々。
箱に入った石ころを見て「これが遺品と言われてもねぇ…」と、むしろそのことに戸惑う。
戦地に行けば死ぬのが当たり前で、「冬になったから雪が降ってきたねぇ」くらいのテンションで会話する家族の様子が、当時の“日常”なのだ。

すずが大怪我をするシーン。
現代だと、その怪我だけで1本のドキュメンタリー映像ができそうなほどの大怪我にもかかわらず、周りの人があまりショックを受けていない。
みんな「生きててよかったね」と言う。
死ぬことが当たり前すぎて、どんな怪我をしようが後遺症に苦しもうが、「生きているだけでよかった」と声を掛けられるような“日常”なのだ。

世界の片隅で普通に暮らしていた名もなき人たちの何気ない日常を描いているのだけど、それが戦時下だとこうも“日常”は今とはかけ離れたものだったのかと、改めて戦争の異常さを思い知る。

東日本や熊本の震災のときもそうだったけど、衝撃的な場面を見せられるよりも何気ない日常を見るほうが心が揺さぶられる。
大変な状況の中で、みんなで笑い合ったり美味しそうにご飯を食べていたりする姿にグッとくる。
この作品も、暮らしは日増しに厳しくなっていっても、日々の生活の中に何かしらの笑いが起きたり、あれこれ工夫しながら生きている姿を見て、より深く戦争の理不尽さも感じるし、同時に人々のたくましさも感じる。

主人公のすずがおっとりほんわかしているし、嫁いだ先も気のいい人たちだから、ほっこりしたり声を出して笑うシーンもたくさんあるので、辛くて悲しくて重たいだけの映画ではない。
だからなおさら、戦争に対するいろいろな思いが湧いてくる。

とても意義深い映画なので、ぜひぜひたくさんの人に観てもらいたい。

ちなみに、私が観たときは満席で立ち見の人もいたほどなので、観るなら早めに劇場に行って席を確保した方がいい。
大分県でもそうだから都会だとなおさらだと思うので。


◆作品データ → (映画.COM)

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by wakabanokimochi | 2016-11-27 00:29 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 ミュージアム




★★★★★<5段階評価>


なるべくネタバレしないように書きます。


あらすじを見ると1995年に公開された『セブン』のようだと感じるかもしれないけど、もちろんそれをなぞっただけの作品ではない。
似たジャンルというだけ。
猟奇殺人の話なのでけっこうグロテスク。
こういうのに弱い人は、しばらく肉が食べられなくなるかも。

私は無様で惨めな旬くんが好き。
この人は、無様で惨めがとても絵になる役者さんだと思う。
『信長協奏曲』での明智光秀のときも無様だったけど、この作品でも追い詰められてボロボロ。
階段を下るように常軌を逸していくさまが鬼気迫っていて、こちらにまでその激しい感情が伝染するよう。

それから、殺人鬼の妻夫木くんもすごい。
この人は本当にカメレオン。
この前の『怒り』ではゲイにしか見えなかったし、熱血なお兄ちゃんにも陰鬱とした土木作業員にもスーっと化けるのがすごい。
今回はただただ狂った人にしか見えなかった。

では、少しストーリーについて。

観る者を翻弄するストーリー展開が素晴らしい。
「あなたは最悪のラストを期待する」というコピー。
観ている側は、主人公の沢村(小栗旬)に感情移入しているので決して最悪のラストを期待しているわけではない。
むしろ、少しでも幸せなラストになるようにと懇願するような思いで観ている。
だけど、バッドエンドしか想像できない描写があって絶望的な気持ちにさせられたり、まだ希望が持てるのではという展開になったり、やっぱり最悪なラストを予感する状況になったりと、殺人鬼に翻弄される沢村と同じようにこちらも翻弄されてしまう。

沢村が肉体的に打ちのめされる中盤まではスピード感と迫力ある展開で、精神的に打ちのめされる後半は陰湿さに満ち溢れていて、その緩急が“狂っている”感じを醸し出している。

監督の思惑通りに精神を揺さぶられた。


◆作品データ → (映画.COM)


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by wakabanokimochi | 2016-11-21 20:40 | 映画 | Trackback | Comments(0)


★★★★★<5段階評価>


クリント・イーストウッド監督の最新作。

“ハドソン川の奇跡”と言われた2009年の航空事故を題材にした映画を作ったと知ったときは、イーストウッド作品といえば理不尽さとか自己矛盾とか、なんだかモヤモヤッとするのが醍醐味なのに、なんでこんなにわかりやすそうな題材を選んだんだろうと思っていました。

この事故は鮮明に覚えています。
川面に不時着した飛行機の翼の上に乗客たちが避難し、ハドソン川を航行していた何艘もの船がその乗客たちを救助している映像は何度もニュース番組などで流れました。
柔和そうなベテラン機長が冷静に「私は英雄ではありません」とインタビューに答えている姿に感動しました。

だけど、その後、この機長が国家運輸安全委員会から厳しい追及を受けていたことは知りませんでした。
英雄と賞賛された機長は、乗客を危険に晒した容疑者かもしれない。

なるほど、イーストウッドが映画にしようと思ったわけです。


英雄視されることも容疑者扱いされることも、徐々に機長を追い詰めていきます。
そんな葛藤や苦悩を、ただただ淡々と描いていく。
淡々としている分、機長の苦悩に同調してしまい、こちらまで苦しくなる。
あの事故がどういう経緯で起き、どう決着したのかという事象を描いた作品ではなく、孤独に戦う男の高潔さという“人”を描いている作品でした。
だから、原題が機長の名前である『SULLY』なんだろうと思います。
とてもイーストウッドらしい作品。
だけど最後はスッキリ終わって、イーストウッドらしくない作品です。

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by wakabanokimochi | 2016-10-31 22:42 | 映画 | Trackback | Comments(0)

【映画】 怒り



◆公式サイト → http://www.ikari-movie.com/
◆作品データ → (映画.COM)

★★★★★<5段階評価>


観ている間中、いろいろな感情が次々と溢れ出てきて、終始心をかき乱された。
胸の奥にグイッと小さな棘を突き刺されたようで、観終わったあともこの作品のことを考えずにはいられない、そんなチクチクしたものが残る。
とてもいい作品、好きな作品です。
ただ、けっして気持ちのいい映画ではないので、観る前にある程度の心構えは必要。

殺人事件の犯人は誰なのか?というサスペンスの要素はあるけれど、「信じることの難しさ」「人を愛するとはどういうことなのか」といったことがメインテーマの人間ドラマ。

※ 以下ネタバレあり




文章にまとめようと丸一日頑張ったけどまとめきれなかったので、感想や考察を箇条書きで連ねます。

◆◆◆
愛する人だから信じたいのに愛しているからこそ疑ってしまう、信じきれなかった自分に対する怒り。
信じていた人に裏切られた怒り。
信じて欲しかった人から疑われた悲しみ。

◆◆◆
映画の終盤、信じきれなかった自分に対する怒りで慟哭する登場人物たちを見て感じたのは、信じ抜く強さって心の強さなのかもということ。
心の芯の強さ、傷つく覚悟の強さとも言い換えられるかな。
結局、相手の言動うんぬんではなくて、自分の芯がどれだけ強いかということなのだと思う。
それは“信じないこと”でも言えることで、「愛したなら無条件に信じろ」ということではなくて、信じないと決めたならそれにも同じくらいの覚悟が必要だということ。
中途半端に信じるから傷つくし、中途半端に疑うから誰かを傷つける。
そんなことをグルグルと考えていたら、信じるってどういうことだっけ?と、なんだか自分でもわからなくなってきた。

もうひとつ、怒りで慟哭する登場人物たちを見て感じたのは、“信じる”のはとても難しいのに、“怒り”という感情がたやすく人の心を支配する怖さ。

◆◆◆
登場人物それぞれが何らかの怒りを抱えながらも、それを押し殺して、あるいは諦めて、あるいは見ないふりをして生きている。
観ている側も似たようなものを抱えていて、100%ではないにせよ登場人物の誰かに共感できる。
ただ唯一、殺人事件の犯人だけは、観客が共感できない稚拙で身勝手な怒りを爆発させる。
この、誰も共感できない(しにくい)“怒り”がストーリーの発端となって、観客も共感できる“怒り”が生まれていく。

◆◆◆
監督の言いたいことは、優馬(妻夫木聡)と直人(綾野剛)の東京パートで言葉にされていると思う。
このパートで語られるセリフは優馬たちだけでなく、千葉パートや沖縄パートにも通じるものがある。

病気で入院している優馬の母親が息子を戒めるように言う、
「大事なモノが多すぎる。大事なモノは少なくなっていくものなのよ」
という言葉。
優馬は笑いながら聞いているが、結局、一番大事にするべきものを大事にできなかったせいで後悔することになる。
自分の母親を献身的に看病してくれた直人に「葬式には出ないでくれ」という優馬の弱さ。
それを言われたときの直人の悲しみを思うと胸が痛い。

一番大事にすべきだったのは、千葉パートの洋平(渡辺謙)にとっては娘の幸せだっただろうし、愛子(宮崎あおい)にとっては田代(松山ケンイチ)だったはず。
沖縄パートの辰哉のとっては泉(広瀬すず)そのもので、泉にとっては辰哉だった。

だけどそれぞれの人物が、世間体や諦めの気持ちや自分の憤りなどを優先させてしまって一番大事なものを大切にできない。
そのあとに訪れるのは共通して“後悔の念”。

◆◆◆
ほかにも印象に残ったセリフをひとつ。

直人に「葬式に来ないでくれ」と言った優馬は「直人のことを同級生や同僚にどう説明していいかわからないから」と言うんだけど、そのときの直人の、
「わかろうとしない人にはどんなに説明してもわからないよ」
というセリフ。
とても共感できるので、心の中で思わず「そう!そう!」と叫んでしまった。

私自身、この直人のセリフと同じ思いを心の片隅に留めているつもりなんだけど、ついつい、わかろうとしない人にもわかってもらいたくて一生懸命説明してしまうという悪い癖がある。
案の定、やっぱりわかってもらえなくて、結果として徒労感と自己嫌悪だけしか残らなくて、その度に「聞かされる方も面倒臭いだろうから、もう熱く語るのはやめよう」と心に誓うのにまた語ってしまう。
だから、直人のセリフに過剰に反応してしまった。
(そして、そう言いながらもまたこんなに長い感想ブログを書いてしまう学習能力のない私。)

この直人のセリフも全パートに掛かっている。

発達障害(であろう)娘を男手ひとりで育てる苦労を周りはわからずに好き勝手噂話をする、と鬱屈した思いを抱く洋平。
愛子は、田代を信じる気持ちをお父さんも周りの人もどうせわかってくれないと諦めている。
理不尽な暴力で傷つけられた自分の怒りや悔しさは、どうせ言っても誰もわかってくれないから自分ひとりでかかえるしかないと怒る泉。
そして辰哉は、泉を守れなかったという深い自己嫌悪をわかってくれていると思っていた田中(森山未來)が、実はそうではなかったことを知って怒りを爆発させる。

それぞれのそんな思いをわかってくれる人もちゃんと存在するのに、わかってくれないことの憤りが湧いてしまう苦悩。
共感しすぎて苦しくなる。

◆◆◆
登場人物の中の誰かを通して自分自身を客観的に見せられているような居心地の悪さを感じさせる作品で、だからいつまでもこんなにこの映画のことを考えてしまうんだと思う。
映画を見終わってからずっと心の中で自問自答している気がする。
私にとっては、ちょっと大げさかもしれないけど人生のキーになる作品かもしれない。

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by wakabanokimochi | 2016-10-19 23:53 | 映画 | Trackback | Comments(0)