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【読書】 ヨイ豊 / 梶よう子

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★★★★<5段階評価>

作品紹介(Amazon)---------
黒船来航から12年、江戸亀戸村で三代豊国の法要が営まれる。
広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた大看板が亡くなったいま、歌川を誰が率いるのか。
娘婿ながら慎重派の清太郎と、粗野だが才能あふれる八十八。
ひと回り歳が違う兄弟弟子の二人は、尊王攘夷の波が押し寄せる不穏な江戸で、一門を、浮世絵を守り抜こうとする。
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浮世絵は今でこそ高値で取引される美術品だけど、当時は、かけそばにちょっと色をつけたくらいの娯楽品。
江戸の人は障子の破れに貼って、新しい流行りの絵が売りだされればその上にまた貼って楽しんでいた。
そんな、あってもなくても困らない浮世絵を、必死に守ろうとする男たちの生き様に惚れ惚れする。
時代は幕末の混乱期に入り、江戸がなくなってしまうんじゃないかという不安が庶民の間に蔓延し、ますます浮世絵どころじゃなくなってしまう。
時代が大きく動くときの歪みがこういうところに一番現れるんだなと、かなりせつない気持ちになった。

明治時代に入って、日本という国そのものが大きく変化して、新しいものもどんどん入ってきてずいぶん発展したかもしれないけど、失くしてしまったものもたくさんあったんじゃないかと思う。
幕末もの読んで知識が増えるたびに、あの変革はもしかしたら間違いだったんじゃないかと思えてしまうことがある。

そんな激変のときに奔走するチャキチャキの江戸っ子たちの義理・人情にグッとくる。
みんなが粋でかっこいい。


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by wakabanokimochi | 2016-04-25 17:47 | 読書 | Trackback | Comments(0)