2016年 04月 12日
【映画】エヴェレスト 神々の山嶺
映画データ (映画.COM)
★★<5段階評価>
作品紹介----------
ヒマラヤ山脈を望むネパールの首都カトマンズで、山岳カメラマンの深町誠が発見した1台の古いカメラ。
そのカメラは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーが、1942年6月8日にエベレスト初登頂に成功したのか否かという、登山史上最大の謎を解く可能性を秘めたものだった。
カメラの過去を追う深町は、その過程で、かつて天才クライマーと呼ばれながらも、無謀で他人を顧みないやり方のために孤立した伝説のアルピニスト・羽生丈二と出会う。
深町は羽生の過去を調べるうちに、羽生という男の生きざまにいつしか飲み込まれていく。
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原作は未読なので、純粋にこの映画を観た感想になります。
ネタバレ、少しあります。
登山に興味のない人が観たら。
人生を投げ打ってまでエヴェレストにこだわってしまう感覚とかが伝わりにくいんじゃないかと思う。
羽生さん(阿部寛)が山に取り憑かれた天才クライマーという描写はあるけど、クライマックスの、山男の熱い想いみたいなものが、山に興味のない人には暑苦しいだけに見えてしまわないかと感じた。
登山知識がある人が観たら。
羽生さんや深町さん(岡田准一)がエヴェレストにアタックする後半シーンにいくつか見られるリアリティのなさが気になってしまうんじゃないかと思う。
映画なんだし、エンタメ作品なんだし、そんな細かいことを気にするのは野暮っていう思いもあるんだけど、少しだけ気になってしまった。
羽生さんが挑もうとする前人未到の挑戦に、羽生さんほどの技術はないと思われる深町さんが何の準備もなく同行することに無理があるとか、足手まといになるであろう深町さんの同行を許す羽生さんとか。
エヴェレストなのにわりと軽装で、しかも深町さんは思いつきで登ることを決めた感じが否めなくて、そのせいで、山男たちがエヴェレストに感じている畏怖や敬意や憧れみたいなものが希薄になってしまっているのが残念。
羽生さんが無謀な挑戦をしているというのが表現しきれていない。
それと、ベースキャンプで二人の帰りを待つ尾野真千子さんが天候が荒れ始めたエヴェレストに向かって言う「何人の命を奪えば気が済むんですか!?なんでこんな目に会わなくちゃいけないんですか!?」ってセリフも気になった。。
エヴェレストからしてみたら、勝手に登ってきて勝手に死んでいくだけなんで、とても違和感を感じるセリフだなぁと。
山に興味はないけど待つ身、としては言いたくなるのかもだけど。
原作未読の人が観たら。
登場人物の心境の変化についていけなくて、展開が唐突に見える。
おそらく原作ではもっと深く濃厚に人物像が描かれているんだろうけど、それを映画では描ききれていないのでそう見えるんだと思う。
原作を知っている人が観たら。
私は未読だけど、大ベストセラーだし山岳小説の金字塔と言われる作品なんだからきっとかなり面白い小説なんだと思う。
それを2時間の映画に収めるのは無理があるよ~って感じちゃうんじゃないかな。
かなりの描写がはぶかれているだろうから。
結果、人間ドラマとしても中途半端だし、山岳映画としても中途半端になってしまった印象。
圧倒的に時間が少なすぎたと思う。
だけど、この映画を観たおかげで俄然原作が読みたくなった。
カトマンズの雑多な雰囲気とか、エヴェレストの美しさとか、山に魅了された羽生さんの迫力とかはすごくよかった。
山男二人の熱い想いにグッとくるシーンもある。
山に登りたくなった。