人気ブログランキング | 話題のタグを見る

【読書】 『塩の街』 『海の底』

【塩の街 / 有川浩】

【読書】 『塩の街』 『海の底』_a0220528_21261971.jpg

★★★<5段階評価>

突如発生した“塩害”という謎の現象によって、日本だけでなく世界中の経済や流通、様々な機能が麻痺してしまう。
そんな非常事態の中で必死に生きようとする自衛官の男と一人の少女。
そして、彼らと関わる人々。
変わり果ててしまった世界の運命は?
そこに生きる人々の運命は?

自衛隊三部作の第一弾、有川さんのデビュー作。
自衛隊好きの有川さんが描く自衛隊組織や自衛官は、とにかくカッコイイ。
勇敢で強くてぶっきらぼうに優しくて。
そして、有川さん特有のマンガみたいにベタベタな登場人物とマンガみたいにベタベタな恋愛描写が、こっ恥ずかしくなるくらいベタなんだけど、ここまでくると潔くてキュンキュンしてしまう。
「ぶっきらぼうに頭をクシャッとする」
とか、萌えポイント満載。

もちろん、ただ萌えるだけの作品ではない。
2007年に書かれたものだけど、“塩害”という過酷な状況に翻弄される恋人たちや親子のドラマに、つい3.11を重ねてしまって胸が震えた。

絶望の中にもある光の部分が描かれていて心地いい。




【海の底 / 有川浩】


【読書】 『塩の街』 『海の底』_a0220528_21282573.jpg

★★★★<5段階評価>

米軍基地のある横須賀の街に、突如、巨大甲殻類の群れが押し寄せて人々を襲い始める。
桜まつりで賑わっていた基地周辺は逃げ惑う人々で大パニックになる。
事態の収拾のために機動隊が投入されるが、前代未聞の非常事態に苦戦する。
ちょうど横須賀港に停泊していた海上自衛隊の潜水艦『きりしお』の乗組員である冬原と夏木は、巨大甲殻類に追い詰められている子どもたちを見つけて共に『きりしお』の中に逃げ込む。

自衛隊三部作の海自編。
あらすじをざっと書くと、「ウルトラマンシリーズか!」とつっこみたくなるようなトンデモ設定に見えるかもしれないけど、各組織間の確執や警察や自衛隊の実情などがていねいに描かれていて、シリアスなエンタメ作品に仕上がっている。
自衛隊の出動に慎重すぎる官僚や米国に対して弱腰な日本政府といったリアルな日本の体質も描かれていて、読んでいて憤りが募る。
一方、孤立した潜水艦に逃げ込んだ自衛官と子どもたち側にも様々なドラマがあり、細やかな人間描写がなされていて、「武」の部分と「人」の部分の両方面白い。
胸キュンポイントはちょっと少なめ。



<これまでの読書感想はこちら → 備忘録代わりの読書感想ブログ ワカバの本棚
by wakabanokimochi | 2015-03-27 21:38 | 読書 | Trackback | Comments(0)