2015年 03月 17日
【読書】 荒神 / 宮部みゆき
★★★<5段階評価>
徳川綱吉の時代、東北の山間で隣り合う2つの小さな藩は、戦国時代からの因縁で反目し合っていた。
そんなある日、片方の藩にある村が“得体の知れない何か”によって壊滅状態となる。
村を破壊したものとは何なのか?
なぜ村を襲うのか?
襲われた村で生き残った者、藩主側近の妹、藩内の問題で立場が危うくなった小姓、それぞれがそれぞれの事情を抱えながら、突如襲ってきた災難と対峙する。
2つの藩の間を視点が行ったり来たりするので、登場人物たちの人となりが把握できるまではちょっと混乱しそうになった。
人となりが把握できたあとは、その魅力にグイグイ惹き込まれて一気に読んだ。
おとぎ話のような言い伝えのような物語だけど、そこから大事なものが読み取れる気がする。
破壊もそれに抗うのも人の心であり、憎み合うのも助け合うのもまた心である。
心とは眼に見えない漠然としたもののようだけど、心ひとつで目に見える何か、善なるものも悪なるものも生じさせることができる。
そんなことを思った作品でした。
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