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書籍の映像化について思うこと

読書備忘録のワカバ棚にもアップしましたが、有川浩さんの『空飛ぶ広報室』を読みました。
読後、この作品について調べようとネット検索したら、ドラマ化され今週の日曜日から放送されるとのこと。
私が面白いと思った作品はすぐに映像化されてしまう(笑)。

面白い書籍を映像化する、その気持ちはよくわかる。
だけど、私が読んで面白かった作品が、簡単に触れてしまえるドラマや映画になることにはとても懐疑的なのです。
今までも、好きな書籍の映像化にガッカリさせられたことが多々あります。
時間制約のせいで原作の良さが引き出せてないとか、私が読んだときに感じた原作者の意図とは違う風に作られていたとか、いろいろと理由があったわけですが、今回のドラマ化の話を聞いて、もっと本質的な嫌悪感に気づきました。
“簡単に触れてしまえる映像作品”になることが嫌なのです。
何時間か(あるいは何日か)費やして心動かされた作品が、たった2時間くらい(ドラマだともっと細やかだけど)のダイジェストみたいにされてしまう憤りです。

その物語を「いい」とか「悪い」とか判断するためには、“時間をかけて読み進める”という作業が必要不可欠ではないでしょうか。
その作業は同時に、自分の経験とか思想とかと照らし合わせていく作業でもあります。
“読む”というのは、その物語を自分の中に取り込むための能動的な行動です。
“読む”ことで、いい物語をいい物語風に作った映像作品を受動的に眺めるだけでは得られない、“感情の揺れ”を感じることができます。
この“感情の揺れ方”で、作品の好き嫌いを決めている気がするのです。
サッカーの試合を見る。
もちろんそれだけでも興奮はするし面白い。
だけど、実際にサッカーをするともっと違った感じ方をするでしょう。
そんな違いがあるように、私は思うのです。

映像作品を全否定するつもりはありません。
私は映画やドラマも大好きですし。
書籍を映像化した作品でも好きなものはたくさんあります。
ただ、その映像作品を観ただけでその物語を知ったつもりにはなってしまうのはもったいない。
読んだ方が面白いことの方が多いから、映画やドラマを観て面白いと感じたなら読んでほしいと思ってしまうのです。
乱暴な言い方だけど、映像化は“お金をかけた長編のCM”くらいの認識でもいいんじゃないかと。

『空飛ぶ広報室』のドラマ化を知ったときに、なんだか少し寂しくなったのです。
この作品に私はすごく感動したわけだけど、本で読んだ人よりドラマで見る人のほうが圧倒的に多いだろうなと。
ダイジェストみたいになった、間引きされたエピソードだけでこの作品が語られることが増えるでしょう。
そうなったら原作がかわいそうだなと、なんだかちょっと思っちゃったわけです。
Commented by ワカ at 2013-04-11 03:13 x
小説ってさ、文章でしか表現されてない良さがあるよね。イメージを自分の頭の中で自由に膨らませられたり、好きなペースで読みすすめられたり。目で見えない部分が描かれてあったり。俺も原作と映像化作品はわけて考えてる。原作読んで楽しんで、映画とかドラマ見て二度楽しむのがお得よね(笑) こういう原作付きはぜひオリジナルから入ってほしいよね!!
Commented by wakabanokimochi at 2013-04-16 22:01
文章で読むよさって絶対ある。
ワカの言うとおりだし、登場人物の心情とか情景とかを1行1行丁寧に追っていく楽しみとかさ。
文章だからできる荒業とかもあるしね(笑)。
ホント、原作から入ってほしいね。
by wakabanokimochi | 2013-04-10 02:00 | 雑記 | Trackback | Comments(2)